大井川流量観測―評価書から中央新幹線小委員会の虚構性が見えてきたような―
前回の続きとなりますので、そちらから続けてお読みください。前回、国交省はトンネル工事で大井川の流量に影響を及ぼす可能性を予見したうえで事業認可をしたかもしれない、と書きました。ところで、同じ資料にはその他にも不審な点あります。JR東海は、旧運輸大臣の指示により、アセスの始まる平成23年より前から、南アルプス地域での流量観測を行っていたと説明しています(前回参照)。その観測地点のうち、静岡県内(=大井...
View Article「事業者により実行可能な範囲」を決めたのは国の責任
本日(1/27)、品川駅にて起工式が行われたらしい。たしか品川駅では2014年12月17日に起工式が行われており、同じ日に名古屋駅でも起工式が行われ、昨年12月18日には山梨県早川町でも「起工式」が行われている。4回目の起工式なのである。というわけで、いちいち騒ぐほどのことではないと思うのだけど、なぜか全国紙やらNHKやらが一斉に報じているのである。北陸新幹線や北海道新幹線とか、はたまた高速道路とか...
View Article取材してから報道すべきだと思う
先日の品川駅起工式に関係して、ここ数日、妙にリニア関連のニュースが流されているようです。いずれも2027年名古屋開業を前提として東京~名古屋間が通勤圏になるとか、品川駅周辺が生まれ変わるとか、名古屋が急速に経済成長を遂げるとか、果ては名古屋が大阪にとって代わるとか、そのように夢のようなことが語られているようです。日テレNEWS24公式ページhttps://www.facebook.com/ntvne...
View Article富士川町 第四南巨摩トンネルの大量発生土量はどこから生み出されるの?
リニア計画の問題を追いかけているジャーナリスト樫田茂樹氏のブログにおいて、早川町内のレポートと同町内における発生土量と運搬車両のナゾがまとめられています。http://shuzaikoara.blog39.fc2.com/blog-entry-463.htmlこれを眺め、改めて山梨県内における発生土量を見直してみたところ、早川町の東隣に位置する富士川町内における発生土量について、気になった次第であり...
View Article南アルプス 発生土置場の大崩壊地の裏には巨大地すべり?
先日、清水区(旧由比町)の薩埵峠(さったとうげ)へ行ってまいりました。写真は薩埵峠から望んだ富士山。安藤広重の東海道五十三次「由比宿」の図案で、あるいは高度成長期ニッポンを象徴する光景としてお馴染みの風景。さて、その薩埵峠駐車場にて、富士山方向を向いて足元のミカン畑に目を転ずると、こんなものがあります。直径4~5mの円形の施設です。金網でフタがしてあり、内部は相当に深いようです。同じようなものが周辺...
View Articleリニア計画 大井川・導水路案は利水系統をぶち壊すだけだからやめたほうがいい
「重箱の隅をつつく」ような話になります。そして、きわめて分かりにくい話でゴメンナサイ。唐突ですが、東京電力は、大井川上流部の田代川ダムから取水し、早川水系の田代川第二、第一発電所に送り、発電機を回しています。常時認可取水量は1.98㎥/s、最大認可取水量は4.98㎥/sです。二つの発電所の最大出力はそれぞれ22700kWと17400kW。大井川水系の利水模式図 環境影響評価書より複製...
View ArticleだからJR東海の環境アセスメントは信頼できない ―岐阜県 土壌汚染未報告問題―
既にご存知かもしれませんが、一昨日、岐阜県のリニア建設予定地において、井戸などから環境基準以上の濃度の有害物質が検出されたものの、JR東海が県に報告をしていなかったという発表がありました。新聞報道の一部を引用します。リニア工事 基準超す水銀検出 JR東海、県に報告せず /岐阜毎日新聞2016年2月23日 地方版...
View Article大井川 水返せ運動と電源開発とよそ者リニア・導水路案
大井川での導水路計画について、話が混乱してきたため、改めてまとめようと思っておりましたが、岐阜県のほうでJR東海がおかしなことをしていたため、そちらに話題が移りました。導水路計画のあらましについては前々回記事を参照。http://rdsig.yahoo.co.jp/blog/article/titlelink/RV=1/RU=aHR0cDovL2Jsb2dzLnlhaG9vLmNvLmpwL2ppZ...
View Article取水施設とリニアは共存できるのか? その1 西俣堰堤
リニアのトンネル建設により、大井川の流量減少が予測されています。JR東海は、本坑の途中からトンネルを分岐させ湧水を流し、大井川の下流側に放水する”導水路案”で、下流の流量減少に対応できるとしています。大井川上流域を拡大 図1 大井川源流部の水力発電施設...
View Articleリニアと大井川取水施設2 リニアと田代ダムは共存できないのでは?
大井川の水を早川水系に送って発電している東京電力田代ダム。リニア中央新幹線のトンネルは、このダムのすぐ上流を通過する計画です。今回は、このダムとリニア建設後の河川流量について考えたいと思います。トンネル建設により流量減少が予測されたことに対し、JR東海は大井川の水が早川に流出せぬよう、新たに導水路トンネルを掘り、ポンプ揚水を組み合わせて対策としています。図1 大井川源流部の水力発電所施設...
View Articleリニアと取水その3 「基準渇水期流量」を基に検討すべきでは?
環境影響評価書において、リニア建設工事による大井川の流量減少は次のように予測されています。コピー1 大井川におけるトンネル完成後の流量予測 (評価書より)コピー2 流量予測地点(評価書より) コピー3 大井川渇水期におけるトンネル完成後の流量予測(評価書より)...
View Articleリニアと取水④ ダム維持放流をリニア導水路が飲み込む?
JR東海が大井川の水資源対策として考案している導水路計画。この導水路案を中部電力木賊堰堤との関係について考察しておりますが、どうも釈然としない。導水路完成後に木賊堰堤での流量はどうなるか、JR東海は次のように主張しています。第4回大井川水資源対策検討委員会資料よりhttp://company.jr-central.co.jp/company/others/oigawa_committee/index...
View Article南アルプスのど真ん中に高さ70mの超巨大盛土
取り急ぎお知らせ去る3月28日、静岡県庁にて第6回中央新幹線環境保全連絡会議が開かれ、JR東海より大井川源流部に想定している燕沢発生土置場についての説明がなされました。盛土は・・・・・・高さ70m⁉ こんな感じらしい林道を発生土の山の上に付け替えて木で囲むから、林道を通る人が眺める光景に影響は生じない?アホか!盛土で川の流路を固定することによる侵食様態の変化は全く考慮せずに安全宣言!?...
View Article南アルプスど真ん中に高さ70mの超巨大盛土 ―正気ですか?―
去る3月28日、静岡県庁で開かれた第6回中央新幹線環境保全連絡会議において、JR東海が静岡県内に想定している巨大発生土置場の計画案を報告しました。会議の資料が県庁のホームページに掲載されていっるのですが、悪い冗談に思えてくる内容でありました。同時に、こんなアホな見解を述べているぐらいだから、着工はまだまだ遠い先の話では?という気もしました。発生土置場候補地となっているのは南アルプスのど真ん中、大井川...
View Article発生土置場の環境への影響 ―なんで質問にマトモに答えないの?
前回の続きです。南アルプスの大井川源流に360万立方メートルもの残土(注)を山積みにしようというJR東海の計画。(注)国土交通省の行政用語では、建設工事で生じた土・ズリは、リサイクル可能な資材という概念のもとに、建設発生土という呼び方をする。このブログでは、なるべくその言葉を使ってきた。けれどもこのほど県に報告した下記計画ではリサイクルしないわけだから、JR東海にとっても地元にとっても不要物以外の何...
View Article東海地震発生時に超電導リニアは安全停止できるのかな? ―リニアが災害リスクを高めるのでは?―
当ブログ、地震やトンネル事故の起こるたびに訪問される方が増加します。やっぱり「リニア=危なくない?」というイメージが付きまとうのでしょうか。リニア建設のタテマエとして、東海地震対策があげられています。しかしそのルートは東海地震の想定震源域の北縁を通ります。近すぎじゃないのでしょうか?...
View Article高さ70m残土山の向かいは大規模崩壊地 ―あっちが崩れたら川が埋まっちゃうじゃん―
JR東海が大井川上流部の川沿いに計画している「残土の山」についての話題です。図1 大井川上流部に計画されている残土の山Google Earthより複製した図にJR東海資料(図2)を合成。黄色の部分が発生土(残土)の山。南北2か所に積み上げ、北側のものは最大幅300m、長さ450~500m、高さ65~70m。残土山の対岸が巨大な崩壊地となっていることに注意。...
View Articleリニア新幹線と活断層リスクの考え方 ―危ないと騒ぐだけじゃ無意味―
今回の熊本地震により、南阿蘇村と熊本市方面とをつなぐ俵山トンネルが崩落してしまったという報道がなされました。現時点ではどのように損傷したのか不明ですが、国土交通省によると「覆工が崩落した」ということです。今回の地震を引き起こした布田川断層帯に近接しており、断層運動がトンネル損傷にどのように関わっているのか、今後の詳しい調査を待ちたいと思います。⇒4/27「日経コンストラクション」に、崩落現場の一部に...
View Articleリニアは活断層を突っ切るから反対⇒富士川河口断層帯と交差する東海道新幹線も廃止すべきでしょうか?
活断層についての続きになります。最初にお断りしておきますが、筆者は「断層変位が起きればどんな構造物も耐えられない。よって活断層を貫くリニア中央新幹線は危険極まりなく、中止すべきである。」という主張には軽々に賛同することができません。というのも、仮にこの主張通りに活断層対策を見直すとすれば、実現するかどうかすら疑わしいリニアよりも、現に乗客を乗せて営業運転している列車のほうを先に考える必要があるわけで...
View Articleリニアは急にとまれない
以前より気になっていますが、直下型地震に対するリニアの安全性って、在来新幹線と比較してどんなものでしょう?宣伝文句では「リニアは浮上しているから揺れに強い」「脱線しない」としていますが、リスクは何も揺れに限りません。断層変位で軌道が変形するとか、トンネルの崩落、落石・土砂崩れ、液状化による軌道のゆがみ…いろいろな要素が考えられるわけです。いずれにせよ、できる限り短距離・短時間で停止しなければなりませ...
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